日米で電子商取引が離陸 |
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野口壽一(株式会社キャラバン・代表取締役)
6月後半、時期を同じくして日米両国政府がインターネットを使った電子商取引に関する報告書を発表した。それによると、日米両国でネット人口は急拡大を続けており、電子商取引(EC)も拡大していることが明らかになった。今回はこれらの報告書を発表した米国商務省と日本郵政省のWebサイトを探訪してみよう。
世界のネット人口は1億7100万人 |
米国の報告は、商務省(http://www.doc.gov/)が発表した「デジタル経済の出現II」である。商務省のWebサイトを訪れると、右側のインデックス欄に、「Office
of Public Affairs」とあり、そのすぐ下に「New Report: The Emerging Digital Economy II」と目的の報告書のリンクが見つかる。米商務省のホームページは、両サイドにインデックス、中央にトピックニュースという、米国系のニュースサイトやポータルサイトのほとんどが採用しているテキストによる情報重視のスタイルを採用している。さすがにWebインフォメーション先進国の政府である。レポートのページに飛べば、48ページの全文がpdfスタイルでほんの数秒で表示される。実にスマートである。もちろん、必要ならば即座にダウンロードできる。印刷版レポートの発行は7月になると明記されている。pdf版は本物の紙バージョンと寸分違わず印刷できるのだから、将来、紙によるレポートはなくなるのだろう。
同報告は、EC(e-commerce)を可能とするIT(Information Technology)技術と電子商取引(Webサイトを通じた商取引)が引き続き成長し、アメリカ社会の労働、消費、通信、娯楽など生活全般を急速に変革しつつある、としている。『日経新聞』6月23日号も同報告を要約して、現在のネット人口は全世界で1億7100万人、米国の人口に占める割合は37%、日本のそれは10%。また、ネットを使った小売りの総額は98年に70億〜150億ドルに達した模様で、2002年には400億〜800億ドルに増えると推定。企業間取引は2003年に1兆ドルに乗せる可能性もあると報じている。昨年の同報告書では、小売りが2000年に70億ドル、企業間取引は2002年に3000億ドルと予想されていた。これらを総合すると、米国における電子商取引はわずか1年前の予測もはるかに凌駕する勢いで成長していることがわかる。
「通信白書」は無料配布の時代 |
個人向け電子商取引額、1665億円に拡大! |
模範を示す郵政省のWebページ |
郵便局「ふるさと小包」のページ
(https://www.furusato-tayori.or.jp/cgi-bin/furusato/f_no1.cgi)
郵政省のWebサイトは、インターネットの利用を推奨するかのように、他の省庁には見られないユニークさがある。つまり、郵便局の「ふるさと小包」のページ(https://www.furusato-tayori.or.jp/cgi-bin/furusato/f_no1.cgi)にリンクがはってあって、全国各地の名産を購入できる。そればかりか、郵政省の資材調達ページがあり、ここから応札へと進むことができる(http://www.mpt.go.jp/Procurement/index-j.html)。つまり、郵政省は、消費者向け電子商取引(B
to C)と企業向け電子商取引(B to B)とをみずから実践しているわけである。さらに、「通信白書」をより分かりやすくするため「通信白書 forKids」と称する小中学生向けホームページを準備する周到さである。
「郵政省もすなる電子商取引」、民間のわれわれが遅れてはなるまい。