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野口壽一(株式会社キャラバン・代表取締役)
10月1日から5000万円以下の株式委託売買手数料が自由化された。従来からパソコンや専用端末を使ったオンライン取引やホームトレードは存在したが、それほど普及しなかった。しかし電子商取引が普及し始めた現在、物流を必要とせず、情報だけの売買で取引が完結するオンライン株取引は、インターネットの普及と手数料の自由化が重なって、大ブレークする様相を見せはじめている。
障害は取り除かれた |
米国でインターネットを使った証券オンライン・トレードが始まったのは1996年。以来わずか3年で、個人投資家の株式取引にしめるオンライン比率は30%を超えた。米国では個人投資家の3分の1が、いまではインターネットを使って株の取引をしていることになる。このブレークの要因は、第1に手数料のディスカウント、第2にインターネットの普及とインターネット上の情報提供の豊富さ、第3にベンチャー証券会社の輩出、といわれている。もちろん、バブルと心配されるほどの株価上昇があったことを忘れるわけにいかない。
一方、日本では、わずか2%の投資家がインターネット取引口座を持っているにすぎない。2%の数字には、実取引のない口座も含まれている。現状はほとんどゼロに近い状況ではあるが、日本でも米国と同じようにオンライン・トレードが激増する要因が成熟しつつある。通信白書でも明らかにされたとおり、日本のインターネット人口は2000万人に近づき、世帯普及率は10%を超えた。景気も株価も徐々に上向き傾向にある。新規のインターネット専門ベンチャー証券会社もいくつも誕生している。そして、10月1日の手数料自由化である。条件は整った、と見て間違いはない。
10分の1はディスカウントではない |
トップページに「松井証券の主張」というリンクがある。ここに飛ぶと同社の主張が掲載されている。そこでは同社が開発してきたインターネット取引システムによる手数料のダウンは約10分の1である、価格が1桁違うものをディスカウントとは呼ばない、まったく新しい株取引システムなのだ、というくだりがある。確かに、値段を10分の1にすることをディスカウントとは呼ばないだろう。投げ売りとか、ただ同然、とか言うべきだ。
革命的な株取引システム |
A社株 | 2,000株 | @580円 | 買付 |
約定代金 | 1,160,000円 | ||
B社株 | 2,000株 | @480円 | 買付 |
約定代金 | 960,000円 | ||
C社株 | 3,000株 | @250円 | 買付 |
約定代金 | 750,000円 | ||
約定回数3回 約定代金合計: 2,870,000円 |
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という取引を1日に行った場合、平成11年9月までなら手数料は32,605円となるが、インターネット取引なら、わずか3,000円である。
新興のインターネット証券会社であるE*トレード(http://www.etrade.ne.jp/)の場合、約定代金100万円まで2,500円。同じくマネックス証券(http://www.monex.co.jp/)の場合、約定金額100万円まで一律1,000円(成行注文)である。その他の既成の大手証券会社でも手数料を大幅に減額しているが、新興証券会社ほど下げず、総合的なサービスを付加して顧客維持を図っているところもある。
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