インターネット活用事例 |
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野口壽一(株式会社キャラバン・代表取締役)
SOHOという言葉が流行している。Small Office Home Offceの略語だが、パソコンとインターネットを始めとするネットワーク技術の普及によって生まれた新しい時代の業務や事業の在り方を提唱する言葉である。また、前回、金沢の田中昭文堂印刷の探訪事例でパソコンサーバーによるイントラネットとLANの活用を紹介したところ、筆者に小規模事業所でのLAN活用についてもっと詳しく紹介してほしいとの声が届いた。そこで今回は、本題からちょっと寄り道してSOHO、小規模LAN、インターネットをキーワードに小規模事業所でのLANの活用について考えてみたい。
ネットワークを駆使する大企業 |
夢はもはや夢でなく |
LAN活用事例と効果 |
電子メールの最大の特質のひとつは、電話のように交信時に相手を時間的に拘束せず相手からも拘束されないことである。文章だけでなくワープロデータや表計算データも送受信できる。電子メールは外部とだけでなく、社内の連絡用に使えばこれほど便利なものはない。筆者の場合、常時10人ほどが同じ部屋で作業している典型的な小規模事業所だが、スタッフとのデータの受け渡しだけでなく、留守中の電話メッセージもメールで流しあうようにしている。こうすれば、外出から帰ってすぐにパソコンのスイッチを入れれば誰から電話があったか容易に確認できるし、必要なら出先からも確認することができる。スタッフと外部との連絡も徐々に電子メールに切り替えているので電話の回数が減り事務所が静かになった。全員に伝えたいことも昔のように回覧することなく、一挙に送信できるし、1人からの質問に対して全員に答えれば、社員集会を開いているのと同じ効果がある。 電話ではよく考えないで判断を下す場合があるが、メールであればよく考えてから返事を出せる。やり取りも記録として残すことができる。 |
電子掲示板のイメージは、どこにでもある掲示板を電子化したものと思えばよい。電子メールは1対1であれ、1対Nであれ、基本的には時間軸の流れの中でやりとりされる情報交換である。それに対して、電子掲示板は、同じ情報を多数に対して一定時間継続して流すところに意味がある。駅の伝言板のように、各人の意見を書き込むこともできるので、多人数での意見交換には最適のシステムである。重要な情報を電子掲示板に真っ先に掲示するようにすれば、社員の関心を引きつけることができ、掲示板に書かれた情報をめぐって会話が弾むようになるだろう。 |
グループウェアと呼ばれるイントラネット・アプリケーションのなかでも大切な機能がこのスケジュール管理や施設予約システムである。グループで仕事をする場合、もっともやっかいなのが各個人のスケジュール管理だ。「いついつ集まろう」というようなシンプルな情報やスケジュール調整であればメールだけでも可能だが、週間・月間、プロジェクト単位のスケジュール管理となると円滑なグループ活動を促進するスケジュール管理機能をネット上に持っているかいないかが、作業効率に大きく影響を与える。小規模事業所では、応接間や会議室の管理のために専門の要員を割くことはできない。たいてい誰かが兼任することになり、「予約した」「しない」と口論になったりする。ソフトを使って予約システムを自動化すれば、人件費を減らしつつ確実な施設管理が実現する。 |
会社にはワープロや表計算ソフトで作成されたデータやその他の文書データ、画像データなどおびただしい数のデータが日々蓄積されていく。製品資料・会議資料・プレゼン資料なども各人が作成したものに検索・整理のための一定の管理データを付記して管理すれば、個々の資料が全社的に閲覧可能な共有データとなる。毎日増え続けていく社内文書を効率的に管理するためには、この文書管理システムが不可欠である。 大規模な社内文書管理システムを導入しなくても、物品購入願いや出張報告書などを文書化してネット上で管理すれば、電子承認システムを簡単に構築することもできるようになる。 |
インターネットはそもそもLANやWANをつなぐ、ネットワークのネットワークという意味である。1台のパソコンや通信端末が相互に接続され、その連鎖の輪が地球上に広がったのが今日のインターネットである。このネットワークをインフラストラクチャーとして、今回紹介したようなさまざまなネットワーク・アプリケーションが開発されている。これらの通信・意思疎通手段を使いこなせるか否かが、これからの企業の優劣を決定づける最重要の要素となるだろう。 |
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